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2007年4月29日 (日)

留魂録 その8

七月九日、一通り大原公の事、鯖江要駕の事等申立てたり。初め意(オモ)へらく、是れ等の事、幕にも巳に諜知すべければ、明白に申立てたる方却つて宜しきなりと。巳にして逐一口を開きしに、幕にて一円知らざるに似たり。因つて意へらく、幕にて知らぬ所を強ひて申立て多人数に株連蔓延せば、善類を傷ふこと少なからず、毛を吹いて瘡を求むるに斎しと。是に於いて鯖江要撃の事も要諫とは云ひ替えたり。又京都往来諸友の姓名、連判諸士の姓名等成るべき丈けは隠して具白せず、是れ吾れ後起人の為めにする区々の婆心なり。而して幕裁果して吾れ一人を罰して、一人も他に連及なきは実に大慶と云ふべし。同士の諸友深く孝思せよ。

七月九日、一通り大原公の事、間部要撃策の事を申立てた。これらはすでに幕府側においても探知していることであろうから、こちらから明白に申立てたるべきとはじめのうちは思っていたのだ。そこで、逐一そのことを自供したのだが幕府は何も知らなかったようだ。幕府側が知らないことを強いて申立てて多くに人々に厄災を及ぼし、無関係の人々を傷つけることは、毛を吹いて傷口を見つける喩にも等しいと後で思い直した。だから間部要撃の件についても「要撃」を「要諫」と言い直した。また、京都に往来する諸友の姓名や間部要撃の時、連判状に署名した人々の姓名も隠して供述しなかった。これは、この後起ち上がるであろう人々のための私のささやかな老婆心であった。果たして幕府の採決は、私一人を罰して、他の人々には一切波及しなかった。実に慶ぶべきことであると思っている。

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毛を吹いて・・・とは「韓非子」大体篇にある。「毛を吹きて小疵を求めず、垢(あか)を洗いて知り難きを察せず」ことさら毛を吹き分けて隠れた小さい傷を見つけるようなことをせず、垢を洗い落として表に見えなかった色を知るようなことはしないの意味。

大原公とは、時の勤皇派公卿 大原重徳。松蔭先生は、大原公を長州に迎え入れ事を挙げようと、大原三位西下策を進めようとしたが失敗している。この時、京に行こうとしたのが、入江兄弟<九一(杉蔵)・和作>で、逮捕・投獄されている。

松蔭先生が間部詮勝の暗殺計画を立てたときに連判状に署名したのは、門下生17名といわれる。連判状は所在が不明で実際は明らかではないが、11名は判明している。入江杉蔵・品川弥次郎・岡部富太郎・佐久間忠三郎・有吉熊次郎・吉田栄太郎(稔麿)・時山直八・久保清太郎・増野徳民・福原又四郎・佐世八十郎(後の前原一誠)である。

さて、幕府が探知していないことを松陰先生が、自白しようとしたことが、死罪を決定付けることとなった。しかし、途中で口をつぐみ、同士の名を挙げなかった為に連座されるものが出なかったのは幸いである。

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