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2013年1月19日 (土)

山河果てるとも

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伊東潤著「山河果てるとも~天正伊賀悲運録」を読む。

book戦国時代の伊賀国は、六十六家もの土豪(国衆)が共存する「五百年乱不行地」であった。むろん、些細な土地争いはあったが、それも「惣」という評定機関により合理的に解決していた。まさに伊賀国は、土豪たちにとっての理想郷であった。しかし、信長が「天下布武」の旗印の下、伊勢・伊賀に食指を伸ばし始めたことにより、彼らの平和は破られることになる。  
風雲急を告げる伊賀国に二十歳前後の四人の若者がいた。彼らの家は伊賀六十六家に属する豪族の子弟たちであった。平和な日々、彼らはともに田畑を耕し、猪を追い、夢や理想を語り合った。彼らは伊賀の地をこよなく愛し、祖父や父と同様にこの地で生き、そして、この地で死んでいくものとばかり思っていた。しかし、天下の情勢は彼らの運命を変えていく。  
当時、隣国伊勢はすでに織田家の手中にあり、国主には信長次男の信雄が据えられていた。信雄は他の兄弟と比べて見劣りし、信長から最も軽視されていた。そのため、何か大きな戦果を挙げて、信長の寵を得ようとしていた。そこに付け込んだのが、僧侶出身の佞臣滝川三郎兵衛であった。彼は策を弄し、伊賀国衆を戦闘に駆り立てようとしていた。  
かくして、「五百年乱不行地」伊賀国を舞台に、血で血を洗う抗争の火蓋が切って落とされた!
以前、和田竜「忍びの国」も天正伊賀の滅亡を描いた小説でした。そちらは伊賀の人々を「忍び」として描いた痛快小説でした。
本書は、伊賀の長年住み続ける、足跡はもとより、家名さえ残らぬ国衆たちの生きた証を描いています。忍者に象徴される超人ではなく、等身大の人間としての伊賀国衆の実像が見えてきます。織田信長という一人の男が起こした時代の大波は、伊賀を飲み込みました。若者たちは、外部からもたらされたこの大波にいかに対処するかという難題を押し付けられ、ある者は徹底抗戦し、ある者は妥協点を探り、また、ある者は進んで大波に身を委ねることになります。そうした若者たちの物語です。 お薦めです。

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